2015年07月30日
とび。昨日往診で入れてもらった点滴の針がズレてしまったので担当の先生に電話をすると、「通勤途中でとびちゃんを預かってお昼休みに連れてこようと思います、朝早いけれど大丈夫ですか?」と。
病院の途中だからといつもいってくれるけれど、ここを通らなくてもいいルートなはず。「飼い主さんの車より私が乗せていく方が何かあった時にも安心ですから」ともいってくれて。細やかな心遣いができる先生。本当に心優しい人。
7:30にお迎えにきてくれてとびを助手席に。とびが頭を先生のバッグにだらんと乗せたので「先生、バッグがよだれで汚れちゃう」というと、「全然大丈夫です!このバッグは汚れても平気ですから」と。
そして、12:30頃に連れて帰ってきてくれました。下痢で汚れてしまったお尻も綺麗に洗ってくれ、大事に大事に連れて来てくれました。
「とびちゃん、帰るね」と先生が声をかけると、目で追っていたとび。これがとびの先生へのさようならだったのかな。
13:00頃、母がやってきました。
「あら、今日は元気そうな顔しているわね、とび」
いつもは寝ているのに今日は顔をあげてお迎えしてくれたのだとか。その目がとてもしっかりしていたのだとか。これもとびのさようならだったんだね。
とびは痰が絡んでいるからか、時々顔をむくっとあげて喉に詰まらないようにしている感じ。
痰を取ろうと口の中に手を入れてみたりしたのですがあまり効果はなかったです。
14:30には仕事の打ち合わせに出かけなくてはならない私は様子をみながら支度をしていました。
とその時、とびの横にいた母が「早くきて!」と叫びます。
とびが横たわりながら目を見開いてもがいていました。発作が始まった?と思った次の瞬間、あっ、痰が喉に引っ掛かってしまったのでは、と思い、すぐに起こしてみたのですが、みるみるうちに舌が紫になり、歯茎も真っ白になっていきました。
母は「嫌だよ、とび。まだいっちゃダメだよ。私が変に動かしちゃったからいけなかったのかな。とび、頑張るんだよ。ほら、心臓マッサージするから!」と慌てていましたが、私は「もういいよ。とびはもう充分頑張ったよ。もう楽になっていいよ」と思ってしまいました。ほんの数十秒のことでした。
でも、そんな状態でそんな心境だったのに、呼吸が止まったようなのに心臓は弱く動いている気がしたので、なぜか病院に電話をして「小野先生お願いします!」
「先生、とび、死んじゃったかもしれない。痰が絡んで呼吸が止まっちゃったかもしれない。でも心臓が弱く動いている気がするの」というと、「今から確認に行くので待っていて下さい」と。
電話を切ってとびのところに戻ると、程なくして心臓の動きも止まりました。14:00、とびが天国にいきました。
先生にもう大丈夫だからと連絡をして、ああ、とびが死んじゃったんだと。
まだ生きているようなとびに抱きついてしばらく泣きました。
でも、そういうときの人の行動って面白いですね。とびについていた針や包帯を外した後、今まで使っていた薬や注射針、シリンジ、カテーテルなどのすごい量の病院グッズを整理しはじめたのでした。
使ったものはこの袋、使っていないものは各グッズごとにジップロックに入れ、大きな紙袋へ。
今やらなくてもいいのに、すっきり整理。
母はとびを綺麗にしてくれていました。娘は妹やパパに電話。
すごいね、とび。14:30に打ち合わせに出かけなければいけない私の都合に合わせるかのように、そして娘や母がいる時間に皆にお別れさせてくれるようにしてくれたんだね。偉いね、とび。
打ち合わせを終えて急いで帰宅。16:00には戻りました。とびはまだ柔らかくて温かくて。
そのとびのお腹や頭に顔をつけてあらためて泣きました。もうすぐ固くなってしまう、もうすぐとびが生き物じゃなくなってしまう、それが悲しい。
とび。私とさようならしたかな?
どうだっただろう。目の前にいるとびの状態を気にし過ぎてちゃんと挨拶できなかった気がする。
ここのところ、とびが気になって眠らない日々が続いていたし、とびが少し動くだけでも飛んで行っていたので、とびの心に寄り添っていなかったんじゃないかと思ったり。
一気に力が抜けて、夕方から20:30まで眠ってしまった私。
目が覚めてからそんなことを考え出しています。
疲れ過ぎていてじっくり頭で考える余裕がなかったのに、少し眠ったせいで頭がしっかりしてしまった。
ちゃんと大切にできていただろうかとか、とびを幸せにできていただろうかとか、じっくり向きあえていただろうかとか、今、そんなことを考えています。
娘も私も「とびは死なない。死ぬキャラじゃない。」ってずっと思っていました。それくらい、とびと「死」は結びつかなくて。
でも死んじゃった。
寂しいよ、とび。
いかないでよ、とび。
とびが楽になってよかった、そう思うのに、私はとても寂しい。
樽のような形のお腹に顔をくっつけるのが大好きで。ちろっと上目づかいでみるあの顔が大好きで。
誰かが来るとその靴を口にくわえて部屋に持ってきてしまうたびに「もーーー」っていいつつ、可愛いなあと思っていて。
さりげなく甘ったれで、仕事をしているときは私がいるパソコンのそばに寝ているし、夜、ベッドに行くのを待って、一緒に眠るし。しつこく触るのは面倒で嫌だったくせに、必ず私のそばにいたとび。
車が大好きで乗るたびに幸せそうにしていたとび。
どうしよう、本当に寂しい。
寂しいよ、とび。
ありがとう、って思うけど、一緒に過ごせて本当に幸せだったと思うけど、そういうと本当にとびがいなくなってしまったのを実感してしまうので、いいたくない。
明日になったら落ち着くかな。
目を開けてよ、とび。
寂しいよ。