2021年05月04日
7ヶ月半、我が家で暮らしたセーラが一昨日(2日)の夜、里親希望者さん宅へトライアルに行きました。
セーラはありがたいことに沢山の応募をいただいていたのですが、その多くは猟犬種、クーンハウンドの特性を考えていないものが多く、「鳴かない犬種が欲しい」「かわいそうな保護犬を飼ってあげたい」「知的障害の娘が最近近所の小型の保護犬と仲良くなったから、うちにも欲しい」「躾をビシっと入れて横につけて歩くような犬にしたい」・・・なぜセーラを選んだのかわからないなーといった感じでした。
セーラはペットショップで売られるような犬種ではありません。実猟に使うような本能を生かした繁殖をされた子です。
まあ、セーラは動物をそこまで追うこともなく、吠え声もあまり通らない、おっとりとした性格なので、猟向きではないことから捨てられてしまったのかもしれませんけれど、それでも、諦めない性格、吠え続け走り続けられる体力、群れで狩りをするスタイルの猟犬種です。
シェパードやドーベルマンのように飼い主のコマンドをまつような使役犬ではないですし、すでに愛玩犬となっているレトリバー種でもなく、飼い主と自分だけでいいという和犬でもないです。
最初の預かりさん宅では、以前の団体さんの意向で、「ケージに慣れさせる為に夜はケージに入れて」「鳴いたら厳しく叱って」というやり方をしたことで問題行動を重ねてしまい、数日でリタイヤすることになってしまいました。
預かりさんが手に余ってしまい、セーラを可愛いと思えなくなっているのは明らかだったので、我が家で引き受けることにしたのでした。
まだ仔犬のセーラが1ヶ月の間、ひとりで山の中で過ごしていたんです。どんなに寂しく心細かったでしょう。鳴くしか方法がないのに信頼関係を築いていない人から叱られるなんて、どんなに辛かったでしょう。
そう考えれば、預かり宅でどう接すればいいのかは簡単なこと。
セーラが安心するように一緒に寝てあげればいいだけ。セーラがトイレを失敗しないようにタイミングをつかむまではしょちゅうトイレに連れ出せばいいだけ。
でも、我が家に来てからのセーラは預かりさん宅で起こすような問題行動はほとんどありませんでした。
シートでトイレをすることもすぐ覚えましたし、夜はおとなしく寝ていました。お留守番は鳴いたりしましたが、少しずつ慣れてきました。
ご飯だけはなるやうーの分を取ろうとして喧嘩になるので別室でしたが、おやつは仲良く食べられました。
それも今から考えればガリガリで飢餓状態だったから、今食べておかないと次にいつ食べられるかわからないという状況でいたからだったのだと思います。沢山食べて大きくなった最近はそんな様子も見られませんでしたから。
セーラは我が家の暮らしはなかなか楽しいものだったのだと思います。
同じような猟犬達や猫までがガヤガヤと騒がしくしている家、沢山散歩をし、自由に走りまわり、犬友とワンプロできる毎日。
ご近所さんに会えば声をかけてくれておやつまでもらえる。お留守番も犬や猫と一緒。
ここ2ヶ月くらいのセーラは本当にすっかり「うちの子」でした。
セーラ自身がそう思ったのがよくわかりました。
以前は呼び戻しもどこか必死で嫌われないように、捨てられないようにという感じがして切なくもあったのですが、今は本当に嬉しそうに飛び跳ねながらやってきます。
遊ぶ姿も仔犬らさが出てきました。家でもです。
眠る時は誰よりも真っ先に飛んできて布団にもぐりこんで眠ります。
散歩の時にはいつも顔を見上げて笑います。
セーラは大げさに感情を表現するタイプではないので一見すると変わらないようにみえるのですが、ようやく私を、我が家を自分の居場所だと思ったのだと思います。
そんなセーラをトライアルに出すことはすごく悩みました。
穏やかで飼いやすいので里親さん宅でもきっと問題なく過ごせるでしょう。甘える様子に、すぐに慣れた、と思うのではないかと思います。
でも、セーラが本当に心を開くのはそこまで簡単ではないだろうなって思いましたし、ようやく本当の意味で「安心した」セーラを手放すのはどうなんだろうとも思ったのです。
セーラと私は相性がよく、どこか昔飼っていた大食に似ていて、「こんな子と過ごせたらいいなあ」という気持ちもありました。
その反面、だからこそ今決めないならば、セーラの為にも自分の犬にすべきだとも考えていました。
1ヶ月以上前にセーラに会いに来てくれて、ずっと待っていてくださったおうちです。
初日こそ眠らずにずっと窓の外を見ていたようですが、沢山散歩に連れて行ってくれて、昨日はお姉さんのベッドに寝ることを自分で決めたようです。
先住犬(小型シニアが2匹います)とも順番を待ちながらご飯を食べられたそうです。
セーラ。今必死で頑張っているんだよね。
セーラを置いて帰る時、一緒に帰る!と追いかけてきたセーラと目が合い、心の中で「セーラ、頑張るんだよ」というと、セーラはちょっとどまどいながらも何かを決めたような顔をしたような気がしました。
セーラ。新しい環境でワンプロしたり一緒に走れるお友達ができるといいね。里親さんに託す際に一番悩んだのがそこだから。
頑張るんだよ、セーラ。だけど、本当に帰ってきたかったらそれでもいいんだよ。
セーラが一番、楽しく幸せでいられるように。
それが私の願いです。
