2020年06月20日


塩田妙玄さんの施設にふらっとやってきたお腹の大きなキジトラちゃん。
4月の終わりに4匹の仔猫を産み、里親が決まっていない2匹を預かることになり、5月の連休明け頃に我が家にやってきた「仔猫ご兄弟」。
哺乳瓶を知らないのでスポイトでミルクをあげ、刺激しておしっこやうんちをさせて。
くろちゃんはものすごい量のおしっこをするので娘が編み出した方法は「人間のトイレで刺激しておしっことうんちをさせる」。
トイレでおしっことうんちをするラクチン仔猫でした 笑
しろちゃんはおっとりしていていろんなことに動じない女の子。人のそばにいるのが好きで、なるやうーの尻尾で遊ぶのが好きで、ご飯をもりもり食べる子。
くろちゃんは運動神経抜群で元気いっぱいな男の子。動きが素早いので目につくのか、いつもうーに頭を咥えられて運ばれてしまい全身を舐められていました。大きな声でにゃーにゃーと鳴き、私達を呼んでいました。


親から離されて以来、いつも2匹一緒でした。正反対の性格ですが本当に仲良しで、起きている時は2匹で遊び、疲れるとくっついて眠り。
人間の都合で親から引き離して、今度はこの2匹を引き離すなんて、人間って勝手で残酷だよね、って悲しく切なく感じていました。
2匹はすぐに里親が決まり、しろちゃんは先住猫のいないおうち、くろちゃんは昨年保護したツミレを家族に迎えてくれたおうちに行くことになっていました。
うちに来て少し経ったときに健康チェックの為に病院に連れて行き、糞便検査やウィルス検査などをしたのですが、2匹ともに猫エイズがごくごくうっすら陽性という反応が出て。
「これは恐らく母親からの抗体が出てしまっているだけで陰性だと思いますよ。ただ、正確にはまだしばらくわかりません」と獣医さんからいわれたのですが、里親さんにそのことを伝えると、しろちゃんの里親さんが「前に飼っていた子も保護猫で猫エイズでした。最期がとてもかわいそうだったので考えさせて下さい。」
仕方がないよね、と思うと同時に、「(親が海外にいてひとりで日本で頑張っている)大学生の娘のご褒美に仔猫を」という言葉や「2匹がとても仲良しそうで離すのがかわいそうだと思うので2匹飼えたら」という娘さんに対して「あなたひとりで2匹の世話は無理です!」とバッサリのお母さんの言葉に違和感を感じ続けていたので、そこのおうちじゃないよということかな、と思い、こちらからお断りをしたのでした。
仔猫ご兄弟はビジュアルもさることながら、とにかく性格がよく、家庭猫としては最高な子達でしたし、いいおうちが見つかるような予感がずっとしていたので、あまり焦って探さなかったのでした。
そして。
やっぱりみつかりました!
元々実家で預かってもらっているクロエの仔猫達から1匹を引き取ってもらうことになっていた娘の友人の友人家族なのですが、クロエの仔猫達の写真をみせて「どの子がいいですか?」と聞くと、「今まで選んだことがないので困っちゃいます。どの子でも構いません!」
最初からそういってたなあと思い出し、一応、この子達もいます、と事情も含めてご兄弟の写真をみせると、
「全て承知しました。この子達をうちで引き取らせて下さい。2匹一緒に。」
先住猫はキジトラの兄弟2匹。
「みんなで楽しみに待っています!」

ということで、お届けにいってきました。
電車の中でギャーギャーと鳴くくろちゃんと爆睡するしろちゃん。
タクシーの中では1匹ずつ抱きしめながら「やっぱり(私の妹)宅にあげたほうがよかったんじゃない?」と涙目でつぶやく娘。
そして、「ペットショップで買った猫を飼ってるとか、仔猫から育てたという人がいるけれど、自分で何度もミルクをあげ、刺激しておしっこをさせ、保温したり一日中気を遣って育てたわけじゃなくて、ある程度大きくなった子を買ってきたんじゃんねえ。捨てる人もさ、こうして一生懸命育てている人間がいて別れるのがすごく悲しくて心配で、こんな思いをしているんだってわかってほしいし、世の中で里親になる人達だって、これを理解して本当に大事にしてほしいよね。」
別れの辛さのあまり半怒り気味。
でも、本当だよね。
何度経験しても慣れることはなく、毎回寂しい。毎回つらい。「もう絶対に動物は預からないで!」と娘は毎回いうのですが、それでも命を繋げる為に預かることになる。
絶対に幸せにしてくれる!と太鼓判を押せる人じゃないと渡せないよね・・・
猫エイズかもしれない(ほぼ違うのに)からって「最期がかわいそうだったから」と自分の都合で躊躇する人よりは、だったらなおさら私が大事に育てる!と思ってくれる人に渡したいと思うのは、我儘なんかじゃないよね・・・
ご兄弟を待っていてくれたご家族は「うわあ!思っていたより全然ちっちゃい!どうぞ、どうぞ、好きなところを探検して!」
「うちは猫ファーストで猫が登りたいところ、入りたいところは好きなようにどうぞ、なんです。ピアノの上でも何でもどうぞー♡」
ご家族みんなが温かくて先住猫ちゃんへの接し方をみていても大切にしてくれるのは絶対だわ!って思いました。
里親宅のお母さんは娘をみて、「育ての親なんだから、いつでも遊びに来てね。会いに来てね!」と何度も娘に言ってくれました。
帰り道。
「あのおうちでよかった。安心した。しろちゃんくろちゃん、幸せだね。」と娘。
よかった。娘も納得してくれました。本当に育ての親でしたから、娘が。
「でもね、しろちゃんもくろちゃんも(私)が里親さんと話している間、何度も(私)の後ろや横に来て膝に乗ろうとしたり、くろちゃんなんか持ってきたケージに入ろうとしたりしていたんだよ。やっぱり家族だったんだね、ちょっとの間でも。」
帰宅した娘は夜ご飯も食べずに「なんか疲れた」と眠ってしまいました。
大事に大事に育てました。
仔猫ご兄弟をどうぞ宜しくお願いします。