スタッフの日々

救うということ

2022年05月12日

連休中から始まった出来事。

きっかけは妹。

妹が山口県で保護活動をする方のブログをみつけ、「かわいそうだ。なんとかならないか」と連絡をしてきたので、ああ、またみちゃったのね、と思いながら、「そう思うならば自分で連絡をしてみれば?」と答えたのでした。

どうなるかな、大丈夫かなと心配しつつ。

私はセンセーショナルな写真とともに「かわいそうだから誰か助けて!」と訴える保護活動のやり方が苦手です。

そういう人の多くは丸投げさんだからです。毎回そんな形でやっているからです。

妹が電話で話すと、「猫の怪我が酷く、飛行機での移動ができないので、いくつかあった関東からの協力の手を全部諦めたのです」と言ったそうで、「それならば新幹線で運べばいいんじゃないですか?」と答えたところ、「そう言って下さった方は初めてです!前向きに検討したいです!」

今から考えると、本当に協力の話ってあったのかな、などと穿った見方もしちゃったりしますが。

「写真の子以外にも骨盤骨折の子がもう1匹いて、写真の子は前脚に大きな怪我、もう1匹は他の部分も骨折している上に頭を打っているのか食餌もとらないしてんかんみたいな発作も起こしたみたいなんだって。かわいそうだ。新幹線で連れてくればいい。なんとかしてあげたい」と妹。

2匹。。

私が電話で話すことにしました。

先方の希望は「写真の子よりさらに酷い子との2匹を東京の病院で診て欲しい。現地はいい病院がなく不安だから。そして私達はもう手一杯で預かり先がないから」とのことでした。

そして、「自分の団体の東京拠点ボランティアをしている女性に預かり先の家庭をみせてほしい」とも。

「それは東京で治療をする為に私達で預かり、治療が終わればお戻しするという形ですか?」と聞くと、「いえ。引き取って欲しいです。」

病状の詳細もわからないので預かり家庭も決められず、というよりまずは入院でしょ、という子達を引き取るのに預かり家庭をみせろってちょっと横暴だなあと思いつつ、私達の素性がわからない(HPやインスタグラムはみて下さっていましたが)ので不安だという気持ちもわからなくはない。ということで、「その方とはどこかのお店でお会いしますね」と答えました。

そんな状況でまだ引き受けられるかは決まっていないのにも関わらず、その方はLINEで次から次へと「心配な子」達の写真と状況を送ってきました。2匹以外は預かり家庭にいる子達なのに。その中で私に送ってくる理由として「こちらの獣医師の診断だと不安なので」と言う数匹に関してはこちらでいつもアドバイスをいただいている獣医師の意見や私がネットで調べたことを伝え、「問題ないのではないでしょうか」と答えました。「2匹に関しては預かり先がないのでわかりますが、他の子達はすでに預かり家庭で引き受けられている子達なので私達が引き受ける必要はないと思います」と答えました。

実際にお会いした拠点ボランティアさんは「実は私も現地の方に会ったことはないんです。」えーーーー。

ともあれ、拠点ボランティアさんのお墨付きもいただき、こちらで引き受けることが決まったのでした。

「でも、この子達の状態を考えると山口大学で診察を受けるのが負担もなく一番だと思うのですけれど」というと、「そこまでではない(山口大学に行くまでではないということ)んです。山口大学がいい病院なのは知っています。この辺の獣医師はみんな山口大出身ですから紹介状ももらうことだってできますし。」

そうなの?なんだか矛盾しているのよね、と思いながら、あまりに突っ込んで臍を曲げられると面倒だと思い、「そうなのですね」と答えました。

その方いわく、2匹とも骨折が問題なのではなく、1匹は前脚の怪我、もう1匹は頭を打っているかもしれないから脳が心配、とのことでした。

それこそ大学病院だよね・・・

なるべく安静に連れて来なければならない子達だったのと、離乳前の子猫も引き受けてくる可能性があったので妹と2人で行くことにしました。

新幹線は4時間半、夕方までには東京に戻り病院に直行したいと考えたので昼頃には山口を出発したい。早朝にこちらを出て飛行機で宇部空港から新幹線の駅まで車で行くというのはあまりにも強行なので、前泊して行くことに。

飛行機は安い時間を探してマイルを使い、動きやすい場所にある旅館を予約。帰りも安い時間の新幹線を予約しました。

 

「(頭を打っているかもしれない子は)食べてくれないのです。ちゅ~るを口元に持っていくと食べるのですが。うんちも出ないのです。」

口元に持っていけば食べるのであれば「食べられている」じゃないの!

食べなければうんちは出ないよね。。。

突っ込みどころが満載の言葉に頭の中が???でいっぱいになりつつ、下記のやりとりをしました。

私「高栄養の流動食などは口に入れたら食べられるのでしょうか?」

先方「また(病院に)行ったら聞いてみます。」

私「お願いします。ちゅ~るが食べられるならば高栄養のペーストなども食べられると思うのですが。食べていないならばうんちもなかなか出ないですよね・・・」

先方「そう言われています。食べていないからうんちも出ないと。」

私「動物は点滴で栄養を入れられないので食べさせるしかないのですよね。うんちより食餌が気になります。」

先方「様子は変わるからまた病院に行きますから聞いてみます。生き残れないかもしれませんね。」

私「せっかく病院までいけた命。体力をつけないと生きることが難しくなるので高栄養を与えてあげてください。宜しくお願い申し上げます。」

先方「もちろんです。たぶん病院もそうしてます。ちゅ~るも高栄養ですから。」

 

このやりとりで不安でいっぱいになりました。

救ったといっても病院に任せきり。生き残れないかも、なんてさらっと言えてしまうことが怖くもなりました。

高栄養のペーストって色々あることをきっと知らない。知ろうという努力もしていないのでしょう。高栄養のちゅ~るよりも栄養価が高いものっていくつもあります。

口元に持っていけば食べられるならばそれは「食べられる!」です。

食べなければうんちが出ないなんて人間も同じ。考えるほどでもなくわかることです。

この方は他の子達のことも心配はすれども自分で調べたり積極的に獣医師に相談したりをしない人なんだと、一連のやりとりを通してわかりました。

全部人任せ。

酷い怪我の猫を目の前にしてなんとかしたいと思う気持ちはよくわかります。優しい人なのだと思います。

だけど、関わったならば全責任を自分で負うくらいの覚悟をする必要があるのではないかしらと思うのです。

負傷動物に関わることが多いならば、もっと医療や症状について調べるべき、学ぶべき。獣医師と懇意にしてすぐに話ができる形にしておくべき。

「この辺りにはいい病院がそこしかなく、いつも混んでいて。先生は忙しいので見落とすこともあるのです。忙しいので先生と話す時間が取れればいいのですが。」

見落とすことがある・・・そりゃあ人間だからそういうこともあるでしょう。でも患者に簡単にそういわれてしまうのって果たして。。

「誰か助けて!」とsnsで拡散するくらいの重篤な症状の子ならば病院の都合で話しができないというのは理由にはならないと思うのです。

 

もやもやしつつ、こちらに連れて来てしまえばいいことなので我慢我慢。

私達が信頼する東京の病院にこの子達の診察をお願いしたところ、「わかりました。整形担当も待機させて待っています。診療時間外になっても構わないですよ!」

が、骨の画像をみせたところで、「1匹の子に関しては、この状態での移動は厳しいと思う。粉砕骨折をしているし、痛みもかなりあると思う。これ、早急に山口大学に診せるのが一番かと思うよ。」

そこで先方に電話をし、東京の獣医師の見解を話したところ、

先方「はあ。山口大学も遠いんですよね。」

私「5時間以上かけて東京に連れてくるよりは近いでしょう!」

先方「そうなんですけれど。山口大学、高いんですよね・・・」

そういうことなのですね。大学病院が高いから連れて行きたくなかったのですね。

私「でも、あの子達はまだ子猫ですし、今ならばまだ治る可能性もあると思うのです。これから10年以上骨折が自然治癒した状態で過ごすということはきっとどこかに痛みや違和感を抱えて生きることになります。まずは山口大学で診断してもらって、手術ができるのか、できないのか、できるとしたらどのくらいの費用がかかるのかなどを把握することが大切なのではないでしょうか?その上でもし手術となれば医療費の協力などもさせていただきます。里親探しも一緒にします。山口大学が高いといいますが東京も高いですよ。こちらの獣医師いわく、山口大学よりも東京の病院のほうが高いのは確か、とのことでしたし。関わった命なのですから最善の努力をしないと『かわいそうだから』と引きだしただけの自己満足になりますし、無責任だと思うのです。それは私も同様です。だからまずは山口大学に連れて行ってください!」

先方「うーん。うちはそういう場合は福岡(の病院)に連れて行くんですね。山口大学は高いから。じゃあ、福岡の団体さんに頼んで・・・」

え?こっちがダメなら別の団体?それを私の前に口にできてしまう神経にびっくり。

先方「じゃあ、もう1匹はどうですか?」

私「まだ1匹の子しか骨の画像をみせていないのですが、後程確認します。」

先方「とにかく、明日、今入院させている獣医師に状態を聞いてみます。」

 

こんな感じで電話を切りました。

この電話の後、もう1匹の子もお腹にうんちがたまっていると最初に聞いていたのを思い出し、「あの子はうんちは出ていますか?」とLINEすると、その日の返信はなし。

翌日になり返信がありました。

・獣医師は骨折について全て把握していたこと、でも時間が経っているので動かさないほうがよく、感染症をおさえることと安静を心がけていた

・手の怪我は思ったより深刻で感染症を抑えることができたが次は皮膚再生の為の治療に入るつもりだった。しかし東京行きの話しが出ていたのでストップしていた

・うんちは出ている

そして、

「この2匹については今回のことでやはり東京に動かすのは止めておきます。お時間とり、いろいろ考えて頂きありがとうございました。これからこちらで何とかしますので、大丈夫です。拠点ボラさんとの時間まで取らせてしまい申し訳なかったです。今回の経験から、負傷猫をやはり遠方に託すのは無理があるとよくわかりました。それを学ばせて頂きました。ありがとうございました。」

この方、何にも理解していないですよね。学んでもいない。

全部こちらが質問してから獣医師に確認しています。うんちが出ているかどうかさえ把握していなかったくらい。

獣医師がこの方に説明しても理解できない、もしくは費用面で治療ができないから説明していないのか、もしくはいつも保護動物価格で診てもらっている手前、獣医師に遠慮しがちなのか、、、

まずはご自身が負傷猫の状態についてきちんと把握しきれていないのが問題です。それは獣医師ときちんとした関係を築けていないのが理由なのかもしれません。

また、お金がない、手が足りないを理由に誰かに全てを丸投げしてしまうことが最大の問題点です。

次々と出てくる保護猫達の為に時間も気持ちの余裕もないのでしょう。ですが、病院に丸投げしているようにしかみえないのです。

そして、医療費の都合からこちらに丸投げをしようとした。

最初から、医療費のことで山口大学に診せることが難しいといって下されば、こんなにややこしいことにはならなかったはずです。

こちらの獣医師から山口大学に話しを通してもらうこともできたのです。

そしてその際の医療費の協力もできたのです。

 

私はただただ自己嫌悪で凹んでいます。

関わりだした2匹を人間の都合で結局どうすることもできなかったのですから。一日泣きつづけました。泣いても仕方ないのに。

これからの一生、痛みや違和感を感じながら暮らすことになったらごめんね。

何もできなくてごめんね。

 

同時期に殺処分対象の2頭の犬の相談もあり、辛すぎて重すぎて、自分の無力に苦しくて。

それでも投げることはもはやできないので先に進みます。

今年の目標である、「殺処分ゼロに向けての不妊手術数を増やす為の活動と離乳前の個体を救うこと」。

 

頑張ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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