スタッフの日々

動物保護団体に相談してくる人

2022年06月10日

「友人が勤務先の敷地でみつけた猫の件で困っているというのだけれど聞いてあげてくれる?」

昔からの友人からの連絡に「もちろんいいよー。」

その方と電話で話しました。

3ヶ月間だけの出向先の病院の敷地で2ヶ月程度の子猫数匹と母猫、そしてもう1匹の成猫をみつけ、病院では「みつけたら追い払うだけ」というのでなんとか保護できないかと近くの保護団体などに問い合わせをし続け、1つの団体が捕獲をしてくれることになったのだが、「子猫はこちらで保護して里親探しまでするけれど、成猫に関してはTNRです。手術した当日にリリースします」といわれたのだと。

そして、

・手術当日のリリースはありえることなのか

・成猫の預かりから里親探しまで引き受けてくれるところはないだろうか

という質問と相談だったのでした。

 

まず、手術当日のTNR(捕獲・手術・元いた場所に戻す)については、「一般的には当日リリースが多いと思います。オス猫であれば私達もそうすることもあるがメス猫は1泊は病院で様子をみてからのリリースが前提。ただし、保護していることでストレスになるような子であれば当日リリースもありえます」と話しました。

かわいそうだなあと思います。痛み止めを飲ませて1泊はさせてあげたいよねって思うので、状況が許す限りはそうしています。

 

成猫の件に関しては、「あなたがどうしたいかです。その子達を追い払われるような環境に置くのがかわいそう、人慣れしているから保護して里親を探したいなどと思うのであれば、あなたが最大限その子達にできることを考えてもらい、その上で私達はお手伝いをします。あなたが里親が決まるまでの一時預かりをするというのであれば里親探しを一緒にしますし、預かりができないのであれば預かりをしてくれるところを探します。病院で預かってもらうことなども含めて。ただその間にかかる費用に関してはあなたが負担することも考えないとならないと思います」とその方に覚悟があるのかを聞いてみました。

「うちで預かろうかとも考えました。うちにも猫が3匹いるので部屋を分けなければいけないのだろうなとか色々考えました。また、今日たまたまそこで餌やりをしている人に会えて話をしたのですが、『手術なんて虐待じゃないか!家庭猫にするなんて自由を奪う虐待じゃないか!猫は自然のままに自由にするのが幸せなんだ』といわれました。餌をあげている時点で自然ではないのに。でも、何が幸せなんだろうかと考えちゃったり。お金を出せば預かってくれるところがあるとのことですが、お金で解決するのもどうなのかなあと思ったり。」

うーん。どうしたいのかなー。

恐らく、「いいですよ!その成猫達、私達がなんとかしましょう!」って言葉を待っていたんだと思いました。

それはね、簡単に言ってはダメだと思うのです。

 

相談してくる人のほとんどがこれ。

かわいそうでみていられないから保護した(する)けれど、自分では預かれないから引き受けてくれないだろうか、助けてくれないだろうか、ってパターン。

みてみぬふりをしないのは素晴らしいと思います。ありがとうって思います。

だけど、それは自分の気持ちが「助けないと落ち着かない」からでもあるわけで。

もし本当にその子達のことを心配していたら人任せになんてできないはずです。最後まで自分が関わりたいと思うはず。

この方も「私はただ猫が好きっているだけなのに。今回のことでは本当に疲れたというのが本音です」といいました。

ただ猫が好き、ってなんだろう?

私もただ動物が好きな人間です。その動物達の立場をなんとかしたいから、みてみぬふりができないから団体までしちゃっているだけです。

疲れたというならば私もとーっても疲れています。その方のようなやりとりもしょちゅうですし、実際に保護して治療して飼育して里親を探して。その活動をする為にイベントをしてお金を作り、そのイベントで売る為の商品を夜中にせっせと作っています。イベントの準備も施設探しやその打ち合わせ、保健所などのやりとりや資料作り。宣伝活動も税務処理も。SNSで匿名で批判をしてくる人もいますし。

善意で猫を保護して「私はかわいそうな猫の為にこんなに頑張っているのになぜ助けてくれないの?」といわれても、それはあなたがしたことです。自分の行動には責任も覚悟もしなくてはいけないと思うのです。

私達は動物の便利屋ではなく、「動物を幸せに導くために行動している人達のお手伝いをする」役目だと思っています。

野良猫の相談を例にとれば、捕獲器を使って保護のお手伝いをしたり、病院の手配をしたり、地域猫としてのお世話の方法をお伝えしたり、里親探しを一緒にしたり。

一手に引き受けるのではなく、あくまでも相談者が動きやすいように手を貸す、というスタンスです。

「ただ猫が好きなだけなのに」というのであれば、どれだけ猫が好きなのか行動でみせてくれ!って思ってしまいます。

「かわいそうな猫を助けた」という事実は保護した人達の気持ちを満足させ、安心させます。だけど、その次にその猫の行き場またはかかるお金でたいていの人が困ってしまいます。そこで「動物保護団体」になんとかしてもらおう!となるのですが、その「なんとか」というのは丸投げに近い気持ちなので、団体は困惑します。そしてその人達はその困惑に不満を持ちます。「団体のくせに助けてくれないの?」って。

我儘ですよ、ホント。

自己満足のお付き合いだよねって思います。

「ここまで頑張るのでここから一緒に考えて!」というのならば喜んでやりますが、8割の人が「保護するってことが本当に大変だと学びました。もう次はしないかもしれないです」と平気でいいます。八つ当たりかよ!って悲しくなります。

それを聞いた私達は後々まで嫌な気持ちが残ります。その猫はその後どうなったかなあとか、まるっと引き受けたほうが猫にとってよかったんじゃないかとか。ずっと考えます。

ずるいですよね・・・

こういうことが続いて保護活動をやめてしまう人、沢山います。

色々な意味で残念だなあと思います。

 

 

 

 

 

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